下請け工事業者がテレワークを導入して1年経ったがメリットしかないので継続決定

テレワークを導入したといっても「現場をこなしてナンボ」の下請け工事会社ですので、事務職やIT業界のようにほぼ全ての業務をテレワークで完結している状況ではなく、またテレワークにしたいからと言ってすぐにテレワークを導入できたわけでもありません。建設業下請け工事会社の弊社がテレワークを導入して1年が過ぎたのでこれまでを振り返り、経緯や考え方メリットを整理し今後の改善につなげられるようにまとめてみました。

テレワークにはペーパーレス必須

テレワークに移行しようと思ったのは、数年前から思い描いていた私たちにとってのストレスのない働き方の構想が、このコロナ禍により実現しやすいタイミングと感じたからで、昨年の夏あたりから手直しを繰り返しながらテレワークを継続してきました。

当たり前ですが、まずはテレワークにする為の準備としてペーパーレス化は必須で、この部分については10年以上前から取り組んでいて、電子データを安全かつ快適に扱える仕組みになってきたのは、つい2~3年ほど前からです。

個人情報の保護の観点からも、紙で資料等を持ち歩く事の多種多様なリスクとか、紙資料を持ち歩くための繁雑な業務などから解放される事などそのメリットは多く、またデータのやり取りであれば資料を渡す側と受け取る側が離れている場合でも情報を届ける事が出来るのでスピード感をもって現場対応することが出来るようになりました。

ペーパーレス化した背景として「遠い昔のお話」となりますが、昔はとにかく私たち下請け工事会社まで工事情報が届くまで時間がかかり、明日の工事情報も行き先と時刻しかわからず、工事前日の終業時刻過ぎにようやく簡単な工事情報が添付されたメールが来ることが日常でした。それでもまだ良いほうで、当日の朝の訪問時刻直前に工事資料が届くという事もありました。

一応一通りの工事を出来る準備はしていますが、その現場に最適な資材や工具の準備はおろかイレギュラーな工事内容であれば安全対策さえ十分な準備が出来るはずなどなく、いろいろな不安を抱えたまま現場に向かう事となります。

そのような状況でしたのでそれらに対応するためには紙資料のやり取りでは全く間に合わず、安全にデータを扱うための様々な運用ルールを決めたうえでのペーパーレス化に取り組み、長い時間かかりましたが今ではすっかりペーパーレスが定着してほぼ紙で工事資料を持ち歩くことは無くなりました。

少々脱線しましたが 以前からペーパーレス化に取り組み、改善を繰り返しながら運用してきた結果、それが定着していた事で比較的スムーズにテレワークへ移行出来たのだと思います。

テレワークとは、自宅にパソコンと通信環境を整えWEB会議ができる状況をイメージするかもしれませんが、紙ベースでの業務をしている限りWEB会議が出来るというだけで、テレワークの恩恵を実感することは無かったと思います。

セミテレワーク

冒頭でも書きましたが下請けの「工事会社」ですので 全ての業務をテレワークで回す事は出来ません。主に現場仕事をこなしている作業員の場合は”自宅にいながら”工事を遂行する、など遠隔操作ロボットやアバターが作業するという時代ではないので、現場で働く私たちのテレワークはセミテレワークとでもいうのでしょうか。

とはいえ、工程調整や報告書等のパソコン作業はそれなりのボリュームはあるので、その担当者は完全に在宅テレワークで完結していて、気が付けば数週間直接会う事が無い場合も珍しくありません。

では、現場をこなしてナンボの建設業者がテレワークでどの辺をどんな感じで運用しているかという所に触れていきますが、先ずはテレワークにすると当たり前ですが朝夕の通勤がありません。

と言っても自宅と会社との通勤を極力減らし、現場への直行直帰にしただけですので、現場への通勤は発生します。たったそれだけの事ですが、朝夕の渋滞時刻に自宅と会社との通勤が無い事のメリットはとても大きくて感じていて この部分だけ考慮してもテレワークにして本当に良かったと思います。

自宅と会社との通勤が無いという事

自宅と会社との通勤が無いメリットは沢山あり、まずは交通事故のリスクとストレスが下がる事を実感しています。

地方都市は車通勤がほとんどですので渋滞との闘いから朝が始まります。ただでさえ車が進まないのでイライラしているのに無理やり割り込んでくる車にムッとしたり、冬だと凍結路面にヒヤヒヤしたり通勤時間も普段の数倍かかったりとキリがないくらいのリスクとストレスの車通勤。また通勤で奪われる時間も積算すると相当な時間になります。交通事故でも起こしたりしたら自身が無傷だとしても車の修理費やら賠償やら金銭的にも痛手になります。

渋滞時間の自宅と会社との通勤が無くなると、そんな多くのリスクとストレスから解放されるのです。

また通勤疲れが無いせいか、朝一番の仕事はじめの集中力が高いというかスタートダッシュが効くというか、特に事務仕事の場合は頭がすっきりしていて集中力も持続するし自分のタイミングで休憩も取れるので、結果として一日のパフォーマンスが良いなと実感しています。

ここまでの説明だと就業時刻になると各々がそれぞれの仕事を始めている感じですが、自宅テレワークの人も現場直行の人もPC、スマホ、タブレット等を使い画面に顔を出して朝のミーティングを行います。

この時に相手の顔色や態度をうかがう事も出来ますし、コミュニケーションも取れます。電波状況が悪い時は音声だけでやることもありますが、やはりみんなが顔出ししてミーティングしたほうがリアリティーがあり疎外感も生まれにくいと感じています。

最初の頃は画面越しのミーティングは違和感がありぎこちなく「電波が弱いので画面を切ります。」とか「画面必要ですか?」など、画面に自分の顔が映るのがこっぱずかしい感じで画面を切りたがっていましたが、いまでは画面越しに冗談を言い合うぐらいに普通になり、「おっさん連中」でも意外と慣れるものだと思いました(笑)

仕事終わりもミーティングで一日を締めるのですが、明日の作業内容や準備状況などを確認し、最後にみんなで「お疲れ様でした。」の一言で画面を閉じます。そしてその直後はもうプライベート空間になります。

この効率の良さ!

「お疲れ様でした。」から「おはようございます。」までを、通勤時間に奪われたり渋滞のストレスを感じることなく、きっちりとプライベートな時間を過ごす事ができるので、趣味に充てる時間ゆっくり過ごす時間がふえて、結果として以前よりその日のリフレッシュが出来るので、次の日は仕事に集中できてパフォーマンスが良くなったと実感しています。

仕事をしているフリ

自宅で仕事をすると、会社で仕事するよりも「仕事をしているフリ」をする時間が増えるかなとも思いましたが、ふたを開けるとそんな心配は何処かえ消えていきました。

どうやら就業時間の内これぐらい自分の時間に使ったから、その分時間外であっても自分の都合の良い時間にその分を仕事しようという足し引きをしているように思います。そしてその都合の良い時間は集中力が高いので短時間で予定の業務をこなせるのでお得感とか充実感が高いようです。

私も就業時間内は連絡さえ取れれば就業時刻にこだわらなくてもよいし、概ね自分の考えているボリュームをこなしていれば一日の労働時間にもこだわらなくてもよいと言っています。

特にパソコンに向かう業務などはパフォーマンスがいい時と悪い時(眠い時など)で、時間当たりの消化能力やミスに大きく違いが出てきますので、やはり効率よく正確に業務をこなしてもらいたいので集中できる時間に一日当たりの妥当な成果物を上げてもらったほうが良いと思っています。兎角、多くの人は就業時間に仕事をしているフリをどれだけ出来るかが会社に在籍する為の価値観のようですが、自宅業務になるときちんとその辺を調整する様になります。※現在の在籍者のさぼり癖が治ったという事ではなく個人の偏見です(笑)

事実、業績は上がり給与のアップ率上昇や賞与に結びつけることが出来ました。現場で働く作業員の場合は以前より多くの工事内容を把握するようになり、忘れ物やつまらないミスは減り、予定した工事は予定通り進むようになり工事内容によっては予定より前倒して完工していくようになったので有給取得日数も増えました。もちろんサービス残業も普通の残業も皆無です。

その他、強制しない変則的なルールはありますが「仕事をしているフリ」をする必要がない仕組みはとても大事だと感じています。

まとめると
  • 交通渋滞起因のリスクとストレスが下がる
  • 朝から集中力が高く持続する
  • 顔出しはいつの間にか慣れる
  • 「お疲れ様でした。」その瞬間からプライベート
  • 毎日のリフレッシュ時間が増える
  • 仕事しているフリが激減する
  • 業績が上がり待遇が良くなる

今後の取組み

今後は週休三日制とか副業のサポートに力を入れて零細企業でも魅力ある職場にして行きたいと思っています。テレワークがまずまずの成果を出しているので、たぶんできると思っていて少しづつですが仕組みを考えています。早ければ来期には週休3日制を実現できるように色々試していこうと思います。

私が現役で働いている間には、遠隔操作でロボットや建設機械、アバターなどを動かして建設現場作業までもテレワークになっている様子を見る事は出来ないと思いますが、建設業の作業員もテレワークになれば労災は激減するだろうし働くだけではない楽しい生き方が出来そうで、想像すると少しワクワクしてきます。

相変わらずの乱文乱筆に加えて駄文失礼いたしました。